【渾身のソウル】〜「ヘイ!」を早く言いたい〜

仕事仲間に誘われまして、
昨日はインテックス大阪で催された
「Rock Beyond Rock2」というライブイベントへ参戦。
大阪・ミナミにあるロックバーの30周年を祝して、
国内外のビッグネームが競演するというもの。

目玉は、
今や国内でその作品を知らない人はいないであろう
超有名ロックユニットのB’z
そして日本ハードロック界の草分け的存在の
レジェンド・LOUDNESS
加えて耽美的な世界観を
メロディアスに激しく表現する黒夢
さらに
フィンランドからのゲスト・MICHAEL MONROEを迎えた
豪華絢爛のライブイベント。

わたしとしては、高校生の頃からCMや歌番組で
死ぬほど曲を聞かされていたB’zはさておき、
黒夢には一時期ハマっていたこともあり、
代表曲は概ね把握してました。

ただ、LOUDNESSに関しては
名前だけは昔からしっかり認識していたものの、
その楽曲は全く聴いたことが無くて
ギターの高崎晃さんは速弾きの名手で
多くのギタリストからリスペクトされている存在、
ということは知っているのに…。

そんなこともあって、ライブ前の2、3日は
ChatGPTがオススメするLOUDNESSの楽曲をYouTubeで聴き、
自身のiPhoneに入っている黒夢の音源を聴きながら
過ごしておりました。

B’zは…まぁ言うても知ってる曲多いし、
何とかなるだろうと
なんだかんだで「ultra soul」でしょ? 
「ヘイ!」で飛ぶんでしょ?

言ってやるよ、やってやるよ!

ライブ会場は、まるで大きな体育館。
それはそうで、
普段は様々な業界の展示会を主にやっている施設ですから、
ド派手なステージ以外は、
コンクリ作りの床に、
鉄柵でゾーンを区切っているだけ

そんな空間に
1万人弱は入っていたのではないでしょうか。
開演前から、もう熱気ムンムン。

なるほどー、
これが“ロックフェス”のムードってやつだな!?

勝手な解釈をしている内に、いざ開演!

1発目は黒夢。
「MARIA」をはじめ人気曲のオンパレード!
そして個人的に一番好きな
「少年」のラストでは「Boy~~!」のシャウト!
ああ…キモチイイ、ロックに“魂”が解放されていく…。

2組目のモンローさんの出番、見たかったのですが、
まだ数時間続くライブを見届けるには
ここらで足腰を休めた方が…と一旦退却

早くも汗だくになった身体にビールを流し込み、たこ焼きを頬張る。
しばしの小休止を挟み、
我々のパワーゲージは満タンに回復!

さぁ、ライブの後半戦へ!

3組目は日本ロックのレジェンド・LOUDNESS!
前述のように楽曲をほぼ知らない状態での参戦だけに
ちゃんとノレるかなぁ…楽しめるかなぁ…
という不安もあったのですが
そんな不安は、二井原さんの高音パワーヴォーカル
カリスマギタリスト・高崎さんの
スーパー速弾きライトハンドプレイ

一瞬で吹っ飛ばされました。

すげぇ…すげぇ…と、ひとりごつ五十路ひとり

こんな世界があったとは…なんか、すんません。
勉強が足りてませんでした。

彼らの出番が終わった時には、
ちょっとした放心状態に。

そして、いよいよ大トリ・B’z!
さぁ…何を演るのかなぁ〜
アレを演るのか、コレを演るのか。
とにかく「ultra soul」は見たい、聴きたい!
そして「ヘイ!」を叫びたい!

1曲目…あれ?この曲、知らない。
2曲目…これも…ゴールはここじゃ…あ!CMの曲か!
3曲目…ん〜知らない。
4曲目…むぅ…

その時、重大なことに気づきました。

「そうか…おれ、B’zの曲ってCMでしか聴いてない!

アルバムをちゃんと聴いたこともなければ、
シングル曲でも始めから聴いたこともない。

そうか、“おれの中のB’z”って、15秒だけだったんだ!
イントロ聴いてもAメロ聴いても、分かるはずがない。

アタマだけはビートに合わせて細かく動かす中で、
ココロの中は不安でいっぱいになっていきます。

まさか、このまま『ultra soul』演らないとか!?

そんな“イッチョカミ”のおっさんの不安をよそに
会場のボルテージはグングン上がっていきます。

みんな楽しそうだ…
いや、わたしだって楽しんでるけど…
もしかして、このまま
知らない曲ばっかりで終わっちゃうのか?
「ヘイ!」は言えないままなのか?

そんな不安がMAXになった頃、
一瞬シンとしたステージ上で、
ギターの松本さんの弾くリフは
なんとなく
聞き覚えのあるエフェクト
を纏っています。

そしてオーディエンスのあちこちから
「ウルトラソウル…ウルトラソウル…」
と合いの手が!

ほどなく、完全に知ってるイントロ!

キターーーーーーーッ!

さすがにコレばっかりは知っている!
イアン・ソープも
マット・ビオンディも追い抜いていく
B’zの看板チューンがやってきた!

そうだ!これこそが、おれの知ってるB’zだ!

曲が進むほどに、自分の中にある“B’zとの思い出”が
まるで死ぬ直前かというような演出で
脳裏を駆け巡ります。

初めては高校1年の教室で、
同級の女子が貸してくれたCD。
聴いてはみたものの、
当時の自分にはいまいちFITせず
文字通り“Bad Communication”だったな…。

あるいは高校時代のバイト仲間と行ったカラオケ。
自分以外の4,5人が代わる代わる「Alone」を歌ってて、
それを歌えないのは自分だけ、
まさにアローンだったな…

大学時代はレンタル屋のバイトで、
大量入荷したB’zのCDに
バーコードシールを、ひたすら貼ったな…。

昔勤めてた会社の
イケ好かない上司に誘われたカラオケ会で、
ちょっと気になってた女子がそいつに媚び媚びで、
入れる曲が全部B’z、
イキって歌う上司にイチャつく女子を置いて
部屋からバックレたこともあったな…

そんな悪夢みたいなアレもコレも
すべては、
今日この時の“歓喜”のための伏線だったに違いない!

さぁ来い!
言ってやる!叫んでやる!
最高の「ヘイ!」を! おれ渾身の「ヘイ!」を!

気がつけば、ステージとオーディエンスは、
聞き覚えがありすぎる、同曲のクライマックスへ突入!

夢じゃないぞ、コレもソレも。
さぁ来るぞ…「ヘイ!」を言うぞ…
さぁ…! さぁ…!

♪そして〜輝く ウ・ル・ト・ラ・ソウル

!!!!!!!!!!!!!!!!

何度叫んだでしょう、何度拳を掲げたでしょう。
やりました…やってやりましたとも!

数度の歓喜を経て、
曲のラストにトドメのように放たれた
「ウ・ル・ト・ラ・ソウル」

五十路の、腰痛持ちの重い体躯を持ち上げ
今季最高のジャンプを叩き出させたのでした。

最後も、知らないバラードでクロージング。
それでも、何とも言えない達成感が、
わたしを包んでいました。

うん、B’z最高。いや、ロック最高。

「ロック」の定義ってのは色んな解釈がありますが、
確実に言えることは
「魂の解放」ってことなんでしょうね。

会場を後にして駅までの道を歩く中、
大阪湾からの風が、汗だくになった身体だけでなく
久しぶりに熱を帯びた魂をも冷ましてくれる快感に、
「ロック」の尊さを思い出した夜でした。