Chanter 歌謡祭 2024 / よもやま話 / By chanter 1年間のご無沙汰です。Chanter専属ライターの四案亭寅九でございます。 2024年は元日から能登半島で大地震が起き、翌日には羽田空港で衝突事故が発生するという幸先の悪すぎるスタートでした。能登に至っては、9月にも豪雨による災害が発生し被災地の皆様に1日も早く安寧が訪れることを願うばかりです。 国内政治は混迷、国民生活も物価高や増税で疲弊、その隙を窺うように、北や西の隣国から好き放題に国土が蹂躙される有様。この国に明日は来るのでしょうか…。 不安を数え出したら止まらない昨今ですが、この年の瀬の一瞬だけ、アホなチョイスで選びました「Chanter歌謡祭」をお送りいたします! 流行するにも程がある賞 Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」 1月期のドラマ「不適切にもほどがある」は“流行語”にもなるほどの大ヒットを記録していましたが、同ドラマの主題歌「二度寝」は彼らの楽曲。そして、そのブームとほぼ同じ時期にアニメ主題歌から火が点き、そのまま世界的なメガヒットを記録したのが、この曲。ようやく日本でもHIPHOPが茶の間で支持された瞬間とも言えるのでは。“ワルそうなヤツはだいたい友達”路線からの脱却こそこのジャンルに最も必要なことだったのです。 やめようイエスマン賞 こっちのけんと「はいよろこんで」 「お客様は神様」という三波春夫の言葉を曲解して取引先や飲食点のスタッフに難癖をつけるのが横行していた日本。ここにきて、ようやく、「カスハラ」という概念が根付き過剰なクレーマーはシャットダウン、通報などの対応をすると宣言した企業がちらほら出てきました。良いことです。某居酒屋チェーンでの接客で有名な「はい、よろこんで」も嬉しくない相手には言わなくていいということですね。良いことです。個人的には、「店員さんに愛される客」をモットーに、日々外食をしています。 オトナのコラボお見事で賞 岡村和義「サメと人魚」 今年、突如始動した岡村靖幸と斉藤和義のユニット。いずれも1990年代からサブカル界隈で人気を極めたアーティストでとりわけ“岡村ちゃん”のメディア露出激増は感慨深い現象でした。そんな2人のつくる世界観は“スケべなオトナの桃源郷”とでも言うべき愉楽の世界。今やタレントを闇へ葬る切り札となった「不倫」でさえこの2人にかかれば、断つことのできない人間の“業”として、美しく描かれるのです。ユニット活動は終了せず、不定期的に何かが出てきそうな予感。今後も期待できそうです。 この実写化、最強で賞 テレビ東京「ウイングマン」 「実写化」という言葉に、嫌な記憶しか無いという方も多いかと思いますが、この10月期にテレビ東京系で放送された「ウイングマン」は「特撮」という括りにおいても名作と言えるレベルを実現。昭和の「少年ジャンプ」を彩った桂正和先生の描きたかったものがついに令和に実現したのではないでしょうか。そのクオリティを支えたもののひとつが“キャスティング”。ヒロインであるアオイ役の加藤小夏さんは、もはやアオイそのもの。美紅役の菊地姫奈さんも、現代における“ヒロイン像”を体現し、同作ひいては桂作品に欠かせない“美少女”の存在感を存分に発揮していました。加えて仮面ライダーシリーズで数々メガホンを取ってきた坂本浩一監督のアクション満載の作風!もう何もいうまい。いわゆる“実写化モノ”の金字塔と言って良い、名作誕生の瞬間です。 完全復活も“やぶさかでない”で賞 とんねるず「やぶさかでない」 この秋、29年ぶりに武道館ライブを開催した平成の暴馬・とんねるず。2日間いずれも満員御礼で、会場の周囲では“音漏れ”だけでもとチケットをゲットできなかった“ワンフー”が殺到したとか。個人的には、ぜひ観たかったライブですが、日程的にも、物理的にも参加が難しく、涙をのんだ次第。小学生の頃から大好きだった2人のパフォーマンスは年明けに配信で観る予定をしております。全国ツアーやってくれないかなぁ…。関西でライブしてくれるなら、絶対行きますとも。こちとら「『嵐のマッチョマン』だって、おどれるんだぞぉ!」 数々のドキドキとトキメキをありがとう 橋本潮「ロマンティックあげるよ」 「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」といった1980年代にもっとも人気を博した作品たちを手がけた鳥山明さんが亡くなったというニュースに言葉を失いました。「冒険」の素晴らしさを悟空から、「笑顔」の素晴らしさをアラレから学び、大人になった我々です。その後も多くの作品が世に放たれ、多くの感動を与えられていますが、ベースには鳥山作品で育まれた感性が存在していることを実感しています。 中山美穂「世界中の誰よりきっと」 1990年代、日本のヒロインは中山美穂でした。冬になると、彼女が主演するドラマが放送され、クリスマスの切なさと相まって、その恋模様にトキメキを感じたものです。自身の主演作で主題歌も歌いヒット曲を生むという構図は、彼女を最後に見られなくなった気がします。本当の意味で、中山美穂こそ“アイドル”でした。「ママはアイドル」ってドラマでも主演していましたが、永遠にアイドルです、ミポリン。 選挙の日って、こんなに虚しかったっけ?賞 モーニング娘。「ザ☆ピース」 7月に行われた東京都知事選挙、10月の衆議院議員選挙、そして11月の兵庫県知事選挙と、今年も様々な意味で耳目を集める選挙が続きました。しかし、いずれの選挙でも、新聞・テレビが目論む展開をよそにネットから生まれたムーブメントによって、“意外”な結果が続いたことが注目点でしたね。それは裏を返せば市民・国民のために働く候補を排除し、為政者の都合のためのみに働く候補をミスリードしてきたオールドメディアのこれまでの目論見がついに日の目を見たということかも知れません。また選挙関連の法律の穴を突くように他候補への誹謗中傷、選挙ツールの悪用など不愉快な行動を“選挙活動”として実践する集団も発生しました。少し前の日本人なら「恥」としてきた行い。日本が変わってしまったのか、それとも彼らがまず…。いずれにせよ、生きにくい時代になったものです。 エンディング 「バカ」がやたらと目に付くこの頃です。テレビを見ていても、道を歩いていても、周りの迷惑を顧みず、ワガママに振る舞う人間の多いこと。それは若者だけではなく、年寄りだってそうです。日本は「恥の文化」と言われます。「恥ずかしい」「みっともない」「笑われる」という言葉と共に親や周りの大人に叱られて育ってきたのが日本人でした。時として「同調圧力」という負のベクトルを生むこともありますが概ね、地域や集団の“平和”を保ってきたのが、この自律的な精神性にあるのではと思います。巷の無法者が増えただけなのかと思っていたら、今年は、政治家・官僚・メディア・財界などにも“無法者”が蔓延っていることに気付かされた1年だったような。自国の利益よりも、自社や自身の蓄財を。国民の生活よりも、より高レベルの税収を。正しい情報の発信よりも、都合の良い情報のみ発信を。総じて、日本に生きる日本人の利益がますます軽視され削られていることを自覚させられました。さすがに、このままじゃヤバいですよ。ニッポン。1人の人間にできることは、たかが知れていますが、せめて、“正しい情報”を手に入れ、今、この国がどう進めば幸せになれるのかを考えることは出来る。テレビの言うことは信じない。ネットの言うことにも左右されない。“正しい情報”を積み上げ、自身で咀嚼し、それを信じる。玉石混交の情報の中、わたしたちが出来ることは、それぐらいかも知れない。でも、多くの人々がそんな思想で振る舞えば、“美しかったニッポン”を取り返すための一助になるのではと。ともあれ、皆さま、良いお年をお迎えくださいませ。