Chanter 歌謡祭 2023 〜 オトナの“敵”は、大人。 / よもやま話 / By chanter 2023年もあとわずか。 今年も色々ありましたが、いよいよ年末。 そんな訳で、今年もお送りいたします。 「Chanter歌謡祭」 こんにちは、専属ライターの四案亭寅九です。 今年あったことを振り返りながら、 それにちなんだ楽曲、関係ない楽曲などをお届け。 地上波テレビでは決して話題にならないようなトピック満載でお送りします! BESTアニメ主題歌 部門 「第ゼロ感」10-FEET 大ヒット作品「THE FIRST SLAM DUNK」のED曲として大ヒット。 キャリアは決して短くない彼らの認知を 一気に押し上げる作品となりました。 今年は、現実世界のバスケットでも 男子代表が2024年の五輪出場を果たすなど 大きな成長が見られました。 世界を舞台に、どこまで戦えるかが注目ですな。 ひとつ言えるのは、 「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」 タレントでもブレイク部門 「ちゅ、多様性。」ano アイドル時代から少し存じ上げておりましたが、 ここまで一気にハネるとは夢にも…。 しかし、意味がなさそうで奥深いレトリックと 一度聴いたら耳から離れないサウンド。 この中毒性は、今年の上半期随一のものでしたな。 PVでも既視感強めの世界観と 意外と身体能力の高いanoちゃんのパフォで しっかりと楽しませてくれます。 おじさんも、こういうの取り込んでいきますよ。 ええ、“多様性”の時代ですから。 制服着てても中身はオトナ部門 「オトナブルー」新しい学校のリーダーズ ♪わかってる ほしいんでしょ? そう、オンナもわかってるし、オトコもわかってる。 そうやって、オトナの世界は回ってたはずなんですがねぇ。 いつから、こう、了見が狭いというか 堅苦しいご時世になったんでしょうかね。 オトナがブルーになる時代です。 幸せの“キャンドル”は灯ったでしょうか?部門 「MajiでKoiする5秒前」広末涼子 オトナの恋は秘めてたしなむもの。 背徳の向こうにある恍惚、 それが耽美の世界なんでしょうけども。 身近に、秘めた恋文を世間に晒すような配偶者が居ては ロマンスも修羅場のドキュメントと変わり果て…。 得るものは何もなかったのかも知れない。 ただ、“配偶者”が開発した 質問者も登壇させるスタイルの記者会見は、 案外今後も使えるのではとも。 BIGな“冒涜”いただきました部門 「BIG TREE」CHAGE and ASKA 修理費吊り上げのために、工員自らゴルフボールを詰めた袋などでクルマのボディを叩きそれを客に請求。これがビッグモーター社の元社長により「ゴルフ好きへの冒涜」と語られた同社の悪事。ただ、問題は同社だけにとどまらず、それを黙認していた損保各社にも飛び火。どえらい“火事”となった訳です。しかし、その後、政界や財界から続出した不祥事を見ているとバブル前後で商いを始めた世代の皆さんは客のことなど考えず、己の利益だけを追求して生きてこられたのだと痛感します。官僚だって、そうだ。もう、みなさん、結構ですので揃ってご退席願えませんか。日本の国と人々への“冒涜”は、もうやめていただきたい。 今年はなんと言っても「侍」ですよね部門 「サムライ・ニッポン」シブがき隊 MLBから大谷翔平にダルビッシュ、 そして新たに登場したヌートバー、 日本から“村神様”に山本由伸、佐々木朗希などなど 錚々たるメンバーを揃え世界に挑んだ野球の世界大会・WBC。 初戦から、負け知らずの全勝優勝でした。 しかし、予選が終わると、思わぬ苦戦が続きましたな。 野球の面白さが凝縮された侍ジャパンの戦いぶりでした。 MVPは大谷翔平というのが当然ですが、 わたしは敢えて、 MLB挑戦1年目にも拘らず侍に加わり 重要な局面で結果を残し続けた 吉田正尚選手に捧げたい。 そして、今回の栄光を予言するかのように 昭和の時代に“サムライ”を歌ったシブがき隊。 お元気ですか、フッくん。 噂は…イェイイェイ 流行語大賞は「アレ」ですが部門 「夏はタヒチでアレアレア!」森口博子 一方、ニッポンのプロ野球。 2023年は阪神タイガース一色となりました。 18年ぶりのリーグ制覇、 そして38年ぶりの日本シリーズ制覇。 やっと2度目の日本一。 長い、長すぎる。 12チームしか無いのに、38年かかりますか。 お金はある、選手も揃ってる、なのに勝てない。 今季から指揮を執った岡田彰布監督は、 「優勝」という言葉が持つプレッシャーを排除するため、 公の場所では“アレ”と言い換え、 リーグ優勝のその日まで「優勝」を口にしませんでした。 先を見据えた、こんな些細な気配りに始まり、 選手との意思疎通、試合での戦術・用兵、 そして相手との駆け引き… すべてにおいて、岡田監督の思惑通りに進んだのではないでしょうか。 不本意な形で職を辞した2008年の借りを 15年ぶりに返した形となったのです。 優勝旅行はハワイだったようですが 平成の頃に、タヒチでアレを言っていた 森口博子さんも喜んでいるのでは… いや、彼女はホークスファンだ。 今年は“AI元年”などと言われましたが…部門 「旅立ちの日に・・・」川嶋あい 「AI製の作品に、アイはあるのかい?」 と言われても、 日々、何かしら画像なんかを作るわたしどもにしてみたら 人間がつくるものにだって 愛が入る場合と、そうでない場合があるのです。 決めるのは、あくまで受け手。 これからはAIがつくる画像や動画、 物語なんかも出てくるのでしょうな。 そんな味気ない世界への旅立ちです。 わたしは、ウェットな世界観をハイトーンで歌い上げる川嶋さんが “AI界”の中では一番好きです。川嶋AIさんでした。 特撮ヒロイン独り占め部門 主演女優賞:浜辺美波 庵野監督の“シン”特撮シリーズの第3弾、 「シン・仮面ライダー」では、 悪と戦う主人公を強い意志で支える勝気な女性、 「ゴジラ-1.0」では、 戦後の混乱の中で、血縁もない幼子を守りながら 懸命に生きようとする直向きな女性を熱演。 もはや、キレイなだけの若手ではないという存在感を ふたつの作品で見せてくれました。 ただ、「シン・仮面ライダー」における わたしのMVPは 「蜘蛛女」をハイテンションで演じ切った 長澤まさみ一択です。 いくらなんでも早すぎる…部門 ちょっと今年は、好きだった方々の訃報が多すぎました。 坂本龍一さん、高橋幸宏さん 世界に先駆けテクノミュージックを確立したYMOにあって、 日本のみならず世界で評価された 坂本龍一さんに高橋幸宏さんが 同じ年に逝かれるという奇縁。 晩年、また集まって「RYDEEN」を演奏されている姿に、 あんな歳の取り方ができれば…と思ったもの。 まだまだ、ご活躍を見ていたかったです。 谷村新司さん 日本のポピュラー音楽が フォークからロックへと移行する過渡期にあって 楽曲のストーリー性と時代性でもって 一気にスターダムへと登り詰めたアリス。 その中心メンバーであり、 ソロとしても「いい日旅立ち」など日本のポピュラー音楽史に燦然と輝く名曲を残されたのが谷村新司さん。 一方で、ラジオなどでの軽妙なトークは 幾つになってもご健在でした。 稀代のラジオスターでもあります。 KANさん 平成の初期に「愛は勝つ」でブレイクしたピアノマン。 しかし、彼の作風は、 聞く人を前向きに励ますだけではなく、 傷つき俯いた人に寄り添い見守る優しさを感じさせます。 一緒に泣いてくれるような。 彼と同じ時代に生き、楽曲に触れられたことに感謝。 結局、俺たちは“分かり合えぬ大人たち”と戦う運命の世代なのか 「卒業」尾崎豊 政治は強者に阿り、弱者を虐げる。経済を仕切る奴らは、組織のメンツのために働く者を切り捨てる。戦後から行動成長を率いた世代からバトンを受け継いだだけで、大した苦労もしていないこの世代が己の欲望と利益だけを追求した結果、働く者が報われず、他所者に血と汗の結晶を売り飛ばす文化を勝手に作り上げた。今年は、それをより強く感じた年だった。悪意あるバカの喧伝に、知識も思慮もないバカが唆され、黙って耐えている賢者を指差し嗤う構図がいっそう強まっているようにも。いったい誰が、こんな国にした?尾崎を聴いていた時代、この苛立ちの原因は“大人”だと思った。だが、そのまま自分たちも成人し、年齢的には十分すぎるほど大人になった。しかし、何だろう。この“無力感”は。働けど働けど…のプロレタリア文学そのままに充たされない日々が続く。そろそろ、立ち上がりたい。この“支配”から卒業したい。 エンディング 〜輝きは飾りじゃない 「ガラスの十代」光GENJI 今さら、ここで語るまでもなく、 今年の後半はアノ話題で持ちきりでした。 本当かどうか、事務所はどうするんだ、 誰が独立するんだ、新たな受け皿は… 長年、TVでエンタテインメントを観てきた世代としては、 かつて夢中で観た作品たちとどう向き合っていけばいいのか、 非常に複雑な気持ちですな。 その意味でも、非常に罪深いことをしてくれたものです。 プロデューサーの“悪意”のもと囲われて、 芸を仕込まれ、演じさせられていたのだと思うと それらの「芸」も賞賛しにくいものになるのですが、 そうとも知らず、あの時代に少女たちのみならず 時代を奮わせたパフォーマンスの数々は 杓子定規に封印されるべきものとも思えないのですよね。 ほんと、罪深いことをしてくれたもんです。 そんな訳で、エンディングです。 ずっと感じているのですが、 コロナ前から、 どうも世間に“せせら笑い”が溢れている気がします。 他人をバカにする、騙す、陥れるような。 現実で、ネットで、 ほとんど“イジメ”のような言動が、 “笑い”として消費されているようなシーンに遭遇します。 差別や誹謗中傷はもちろん論外ですが、 一方で、それらを逆手に取り、 「正義」を振りかざして誰かの権利を毟り取っている連中も。 果たして、彼らは断罪に相応しい存在なのだろうか。 その“正義”にこそ根深い“悪”を飼っていないか。 この国に生を受けて、 先祖や親が作ってくれた環境で育ち、 これを未来に届けていきたいと願う多くの人たちに 今、世間で起こっていることの本質を もう一歩踏み込んで考えてみてほしい。 “正義”を真顔で語る輩の中に潜む“悪意”。 これが、来年あたり 顔をもたげてくるような気がしてなりません。 そして、その芽こそ 本当にわたしたちが打倒すべき相手なのだと思います。 皆様、どうか良いお年をお迎えください。