“食レポ”が過ぎる / よもやま話 / By chanter かつてはテレビにおいて、昨今ではネット動画においても「グルメ」というカテゴリーは不動の人気コンテンツとして支持されています。困ったらグルメ。自宅で、地元で、旅先でと、どんなシーンでもOK。ジャンクやインスタント、高級、アレンジ、ボリュームと、人間の本能である“食”というジャンルは、いつの時代も視聴者の興味を惹きつけるものです。 そして、多くのコンテンツで活用されている「食レポ」という演出。演者が当該のメニューを食して、その味を表現する一連の流れを指します。20年ほど前から、それを“主戦場”とするタレントのスタイルを切り取り、半ば笑いのネタにしながら、アレンジしていくというパターンが主流に。最近ではテレビ局のアナウンサーまでが「食レポ」という言葉を発し過剰なリアクションと的確とは言えない語彙で、いま食した料理を説明するのです。 “グルメタレント”のそつの無いレポート演出が面白いと着目していたものが、ある種の“大喜利”と化してしまったのが現状かと。制作側、演者側としては、そこで笑いが生まれたり、視聴率が獲れたりする訳ですから、それで良いのかも知れない。しかし、ただでさえグルメを扱うコンテンツが増えるている中で、その“大喜利”が氾濫している状況…視聴者は文字通り“食傷気味”になっているのではないかと。 だいたい、映像で調理の過程から観ていたりするのですから、そこそこ外食などしている人であれば、それが美味しいかどうかなんて、観てりゃ解るんですよ。本来、視聴者を喜ばせよう、興味を持ってもらおうとしていたはずのものが今や演出と演者の“自己満足”でグルメを扱っているところにも、メディア側の傲慢さが表れているように思えます。加えて、お店の料理を紹介する場合においては、そのメニューを生み出した経緯や苦労などが伝わってこそ価値が理解される訳で、料理人の方、関係者の方の思いさえ、安い笑いに変えてしまっているようにも見えます。 WEBの台頭以降、視聴者側も注意深く番組を観る姿勢が強まっています。「ステマ」「電通案件」などというワードが世間でも言われる時代、情報を発信する側は、もう少し誠意をもって視聴者・ユーザーに接することを考えないと、ひいてはスポンサーまで逃すことになるんじゃないですかね。 そんな中、グルメを扱う上で、ちょうど良い情報量のコンテンツを見つけたので、ご紹介。当該のメニューを作る上で必要な情報と、作っている過程の映像と音が美しいです。作る上での“コツ”などをサラッとテキストで押さえてくれる一方、余計な発言や演出はないので、視聴者の“知識欲”をちょうど良いバランスで満たしてくれます。芸人さんが主役の番組ならまだしも、情報番組などの演出は、今後こっちにシフトしていきそうな気がしますね。